宮城共立医院の高血圧への取組み

高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。重症化すると命に関わる病気ですので早めの診断・治療が必要です。

高血圧について

宮城共立医院の高血圧症の方針画像

宮城共立医院の高血圧症の方針

  1. 生活習慣(食事療法・運動療法)の改善を図ります。
  2. お薬は最低限必要なもののみといたします。
  3. 検査は2ヶ月に1回程度、最低限必要なものといたします。
  4. 心電図脈波・胸部写真・CT検査・生化学検査・肺機能検査・生化学検査)など検査設備があります。
  5. 病状や合併症を診断し、適切な治療をいたします。

高血圧症とは

私たち宮城共立医院では高血圧の治療に特に力を入れております。私たちの血圧は、ちょっとしたこと(からだを動かす、寒さを感じるなど)で上昇します。こうした一時的な血圧上昇は、高血圧とはいいません。
高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。

高血圧リスク分類表

高血圧をそのままにしていると

高血圧の状態を放置していると、動脈硬化を促進し、脳卒中や心疾患、あるいは慢性腎臓病などの重大な病気につながります。
とりわけ最近の研究から、脳卒中は男女を問わず高血圧の影響が大きいことが明確になっています。

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などのリスク

高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中です。収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上昇すると、脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%高くなります。
脳卒中は命が助かっても、運動障害や言語障害が残りやすく、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。

心筋梗塞、狭心症などのリスク

高血圧は、心疾患のリスクも高めます。特に、男性の場合は影響が大きく、収縮期血圧が10mmHg高くなると、心筋梗塞や狭心症の危険度が約17%も増加します。

慢性腎臓病 CKDのリスク

血圧が高いと腎臓にも大きな負担がかかり、血液中の過剰な塩分などの排泄がうまくいかず、さらに血圧が上昇する悪循環を起こしやすくなります。慢性腎臓病を起こすと、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなることがわかっています。私たち宮城共立医院で は尿素窒素やE-GFRを定期的にチェックし、CKDの予防に特に力を入れております。

私たち宮城共立医院では血圧を毎日自分で測ることをお勧めしています。そして血圧が高い場合には、治療に特に力を入れております。
高血圧は、放置していると怖い病気ですが、その一方で、自分で見つけられる病気ともいえます。痛みなどの症状がなくても、健康診断や家庭での血圧測定によって、発見できるからです。
「血圧が高め」とわかったら早めに受診し、治療を必要とする高血圧なのか、原因は何かなどについて知ることが大切です。

高血圧の新基準とは?

分類数値基準
正常血圧<120 かつ <80
正常高値血圧120~129 かつ <80
高値血圧130~139 かつ/または 80~89
I度高血圧140~159 かつ/または 90~99
II度高血圧160~179 かつ/または 100~109
III度高血圧≧180 かつ/または ≧110
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より

ガイドラインでは、高血圧をⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度の3段階に分け、疾病リスクとの兼ね合いで、いつどのように治療するかを医師が判断するようになっています。
正常高値血圧というのは、「高血圧の一歩手前で、注意が必要なレベル」という意味で、高血圧予備軍の段階です。疾病リスクが高い場合は治療の対象となります。また、(孤立性)収縮期高血圧とは、収縮期血圧だけが特に高いもので、動脈硬化の進んだ高齢者に多くみられます。
私たち宮城共立医院では血圧は低めにたもつのがよいと考えております。
自分の血圧が正常値の範囲だと、つい安心しがちです。しかし、実際には、正常高値や高値血圧のレベルでも、脳卒中や心筋梗塞などを起こさないわけではありません。
病気の発症率との関係をみても、例えば脳卒中の発症率がもっとも低いのは、ガイドラインでいうと正常血圧(収縮期血圧<120かつ拡張期血圧<80)のレベルです(降圧薬を服用していない場合)。
そのため最近は、「血圧は収縮期血圧<120、拡張期血圧<80までコントロールするほうがいい」とされています。
血圧を下げる目標値は?
「高血圧治療ガイドライン」では、これまでのさまざまな研究結果をもとに、脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管病を予防するための「降圧目標(血圧が高い人の血圧をどこまで下げるべきか)」が示されています。

高血圧の新基準とは※(日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より)

血圧が高いと腎臓にも大きな負担がかかり、血液中の過剰な塩分などの排泄がうまくいかず、さらに血圧が上昇する悪循環を起こしやすくなります。慢性腎臓病を起こすと、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなることがわかっています。私たち宮城共立医院で は尿素窒素やE-GFRを定期的にチェックし、CKDの予防に特に力を入れております。

生活習慣・食生活を見直す

高血圧の食事療法について画像

食事療法について

高血圧の人は自分でも気づかずに、血圧を上げるような食生活をしていることが少なくありません。「血圧が高め」といわれたら、まず食事の内容や仕方を見直すことが大切です。
減塩を心掛け、ミネラル豊富な食事を中心に摂りましょう。

1.減塩を心がける

食生活の中でも、まず見直したいのが塩分の摂取量です。減塩による降圧効果には個人差がありますが、世界的にみても日本人は塩分をとりすぎている傾向があるので、まず減塩を心がけることが大切です。
私たち宮城共立医院では、1日当たりの塩分(食塩)摂取量の目標を「6g未満」と設定していますが、同時に「より少なくすることが理想」ともしています。これは、米国ではすでに理想的な摂取量を「3.8g」とするガイドラインが示されているためです。
また、最近、高血圧が急増している中国での調査で、「メタボリックシンドロームの人ほど塩分の影響を受けやすい」というデータもみられます。高血圧にくわえ、肥満や高血糖などの症状がある人は、十分な注意が必要です。

減塩のコツ

しょうゆやソースより酢やレモンやユズ、こしょう、ごまで味付けする工夫をする。
天然だし(昆布、シイタケなど)をしっかりとり、しょうゆや塩を減らす。
ラーメンやそば、うどんの汁はできるだけ残す。
寿司につけるしょうゆの量は少しにする。
薄味に少しずつ慣れるようにする。

2.ミネラル類をしっかり摂る

塩分の排泄を助ける成分に、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルがあります。
カリウムとマグネシウムを上手に
カリウムには、腎臓から余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。マグネシウムは、その働きを助けます。
カリウムは野菜や果物、海藻類、豆類などに多く含まれています。中でも野菜類や海藻類はカロリーが低く、メタボリックシンドロームの人にもいいので、しっかり食べることが大切です。
また、マグネシウムは、海藻やナッツ類、豆類などに含まれています。野菜サラダに豆やナッツを入れるのもいい方法です。
ただし、血糖値が高い人は果糖の多い果物は控えめに。また腎臓病の場合には、カリウムのとりすぎで悪化することもあるので、当院に相談してください。

3.カルシウム不足は危険

カルシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンやプロビタミンDが分泌され、これが心臓や血管を収縮させて血圧が上昇します。高血圧になりやすい人には、カルシウムの吸収や調節の機能がよくない人も多いので、カルシウム不足にならないように心がけることが大切です。
カルシウムの吸収率が高いのは牛乳や小魚類です。日本人の食生活では、カルシウムが不足しがちなので、意識的にきちんととることが大切です。
また、マグネシウムは、カルシウムの吸収を助けるので、ナッツ類や豆類なども一緒にとりましょう。
参考にしたい
肉類や甘味類などの高脂肪・高コレステロール食を控え、野菜や果物、ナッツ類、豆類、魚類、低脂肪乳製品、穀類(全粒粉のパン)などを中心とした複合食が、血圧を下げる効果があるとしています。

高血圧治療薬(降圧薬)の使い分け

私たち宮城共立医院では高血圧の治療に特に力を入れております。緊急性が低いと判断された場合は、降圧薬の治療を開始させていただきます。降圧薬は世界中で広く使われているため、非常にたくさんのお薬があります。
高血圧のガイドラインに基づいて、適切な降圧薬を患者さんごとに選んでいきます。高血圧のガイドラインでは、
ARB、ACE阻害薬、抗Ca(カルシウム)拮抗薬、利尿薬、α遮断薬、β遮断薬
の5つが代表的です。一つのお薬でコントロール不十分な場合は、これらを組み合わせます。